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ポバール皮膜
ポバールは一般的に水溶液にして使用します。
1.水に対する性質
繊維加工、紙加工、接着などの用途において、ポバールの乾燥皮膜に水溶性が要求される場合には部分けん化物が、耐水性・強度が要求される場合には完全けん化物が利用されます。
2.可塑剤の影響
ポバール皮膜は高湿度下では柔軟ですが、低湿度下では柔軟性を失い、硬く脆くなります。低湿度下においても皮膜を柔軟にするために、グリセリンやポリエチレングリコース(PEG)等が可塑剤として用いられます。
3.機械的性質
ポバールのフィルムは、他の水溶性ポリマーに比べて強靭で引裂や摩擦に強い性質があります。一般的にこの性質は重合度が高い方が、また、けん化度が高い方が優れています。(図12〜17) グリセリンの添加により皮膜は柔軟となり、伸度は増大しますが強度は低下します。(表1 図18・19)
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グリセリン 添加の有無 |
関係湿度 |
| 40% |
65% |
90% |
引張強度 (kg/mm2) |
有 |
5.0 |
4.5 |
2.8 |
| 無 |
7.0 |
6.2 |
3.8 |
引張伸度 (%) |
有 |
260 |
320 |
430 |
| 無 |
70 |
220 |
300 |
引張弾性率 (kg/mm2) |
有 |
40 |
20 |
5 |
| 無 |
180 |
150 |
46 |
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表1.力学的性質に及ぼす可塑剤の効果
(PVA-117/グリセリン12%添加)
4.その他の性質
- ガス透過性
ポバール皮膜は水蒸気はよく通しますが、乾燥したフィルムの酸素、窒素、炭酸ガスなどのガス透過性は非常に低い値を示します。
- 耐油・耐有機薬品性
動植物油類、鉱物油類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類等の多くの有機薬品に対しては強い耐性を持っています。一般的にポバールの耐油、耐有機薬品性はけん化度が高いほど大きくなります。
メタノール、エタノール等低級アルコール類に対する耐性はけん化度の依存性が比較的大きく、部分けん化物は膨張しやすくなります。
- 帯電性
ポバール皮膜は高湿度下で吸湿し摩擦による静電気の発生はほとんどありませんが、低湿度になると帯電性が現れてきます。
5.ポバール皮膜の耐水化
ポバール皮膜の耐水性は熱処理などによって改善されますが、沸騰水に耐えられるようにすることは通常のポバールでは困難です。代表的は方法を以下に示します。
- 熱処理
ポバール(特に完全けん化物)は結晶化しやすいポリマーであり、ポバール皮膜を熱処理することにより結晶化度を高め耐水性を持たせることが可能です。完全けん化物は150〜160 で4〜5分、または180 で1〜2分が有効です。
- 熱硬化性樹脂の添加
尿素、メラニン、フェニ−ル樹脂などの初期縮合物を添加(10%/PVA)し、適当な硬化促進剤を加えて架橋させることができます。
- アセタール化処理
酸触媒を使用してホルマリンその他アルデヒドと化学反応をさせて耐水化させることができます。
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